レーザー機器の選択ミスでシミ悪化のトラブル多発?!
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- レーザー治療
シミに対するレーザー治療は危険!?
近年、巷間では「マスク生活の間にしみ治療を!」との流行の中、シミに対するレーザー治療が盛んに行われています。しかし、シミの種類に応じて照射するレーザーの種類が適切に選択されないと、症状が悪化する恐れがあるため、レーザー照射をする際はしみの種類や状態に合わせて波長やパルス幅を設定することが重要です。
シミは大きく5種類に分けられる
シミはおおまかに5種類に分けることができます。一般的に「シミ」というと、加齢に伴う老人性色素斑を示すことが多いのですが、雀卵斑(そばかす)や、女性ホルモンの影響で発生するといわれる 肝斑、また皮膚の炎症後の色素沈着、脂漏性角化症(老人性疣贅)なども加齢や紫外線の影響により 発生することから「シミ」に分類されます。
他院でのトラブル例
右記の写真は肝斑にQスイッチ付きルビーレーザーを照射したため、肝斑が悪化した症例です。694nmのルビーレーザーではメラノサイトが刺激され、かえって肝斑が悪化します。肝斑は基本的に内服治療がメインですが、それに加えて当院でレーザー治療をする場合は、ナノ秒もしくはピコ秒の近赤外線領域レーザー(Nd:YAG 1064nm)を選択します。
肌画像カウンセリングシステム「re-Beau2®(レビュー2)」
当院では美容カウンセリングの際にJMEC社「re-Beau2®」を使用し、シミの種類やあざの有無を確認します。シミやあざは単体で存在することは少なく、同一部位に混在することが多いです。症状や状況に対し適切なレーザー機器や波長の選択、出力やパルス幅の設定をして照射します。
症状と診断に合わせたレーザー機器の選択
老人性色素斑や雀卵斑にはQスイッチ付きルビーレーザーやQスイッチ付きアレキサンドライトレーザー、532nmのピコ秒レーザーが使用されます。しかし照射後の色素沈着や色戻りのリスクがあるので、軟膏処置等のホームケアが必須です。これらを避ける場合はミリ秒のロングパルスアレキサンドライトレーザーで照射を繰り返す方法を選択します。また、肝斑と老人性色素班や雀卵斑が混在する場合、肝斑が濃くなければナノ秒やピコ秒のアレキサンドライトレーザーで患部全体をマイルドに照射する方法があります。肝斑が濃い場合は内服療法とナノ秒またはピコ秒のYAGレーザー(1064nm)を使用します。いずれにせよ、患者様に合わせた担当医との診断が鍵になります。
波長とパルス幅/熱の蓄積効果と緩和時間
レーザー治療において、照射するターゲットに対する波長の選択は勿論のこと、パルス幅の設定や熱の蓄積効果、熱の緩和時間を考慮した照射技術が肝であると感じています。性能の良い機器や最新機種を使用しても施術者の知識や技術が伴わなければ効果的な治療ができないばかりか、安全なレーザー施術・サービスを提供することはできません。レーザー専門の医療機関でなくても、クリニックであれば簡単にレーザー機器を扱えてしまう昨今、知識や診断や技術が伴わないレーザー治療により患者様が望まない結果にならないよう施術提供者の知識や技術の向上、教育が必須だと考えています。